「どうだ・・・どうだ・・・ええ、いいだろうが…嫌いじゃないんだろう…こうされるのがよ…」
「うっ・・・・・」
「いいんだろう・・・・・・・いいって言ってみな・・・・言えよ・・・」
追いつめられては引きとめられて、残酷にさらけ出された秘部はもはや感じていることを隠しようもない。
「いえよ・・・言えったら・・・言わないと、こうだぜ・・・」
全体重をかけて受け入れさせられている体が、突然後ろから突き上げられる痛みと混じりあった快感に震えた。
「ああ・・・・あっ・・・・い・・・」
「強情だなあ、うっ、おい、そうしめつけるなって、生娘みてえに恥ずかしがりだな。よがってるくせに、気持ちいいんならもっと声出しな、いやならこうして」
「あっ」
妖怪はいきなり手をはなすと、後ろから細腰をつかんで前へ押し倒した。長い銀髪がなまめかしく乱れて前に広がり、殺生丸が片腕をついて四つん這いに倒れこむ。おきあがろうとするところを後ろから押し入られ、虜が身悶えして再び引き裂かれる苦痛にうめいた。
妖怪の責めあげ方はいっそうじらすようになり、しかも容赦がなかった。淫らに腰をふるよう強いられて、雪のように白い肢体が屈辱に震える。
「恥ずかしいんだろ、この有り様がよ・・・いやがってるなあわかってるんだ。気持ちはな。けどそれがいいんだ。だからこそ感じてるのよ。ふふ、お前みたいなのはな、その証拠に、」
腰の前に手をまわされて、殺生丸の体が痙攣した。妖怪の忍び笑いが聞こえる。
「感じやすい体をしてるな。まったく、下郎にいたぶられるにはもってこいの体つきだぜ」
「・・・・ふ・・・ざけ・・るな…………」
突然虜囚があえぎあえぎ口を開いたので、妖怪はおどろいたように手をとめた。
「なんだい、どうした、まだ話す元気が残ってるか」
「貴、様など・・・・だれが・・・・・あゥッ」
云い終わらぬうちに、妖怪の手が雪のような白い髪をわしづかみにして頭を引き起こした。
「・・・・まったく気に入ったぜ」
荒々しく後ろから覆いかぶさったまま、柔らかな耳たぶに息を吹きかけんばかりにして妖怪はささやいた。殺生丸が目を閉じたまま口を開けて喘いだ。
「ますますお前を俺のものにしたくなったよ、おひいさん。なるほど、とことんいじめて欲しいってわけだな。いいともさ、お望みどおりにしてやろうじゃねえか」
「・・・・・あ・・・・・・」
いきなり髪を放すと、のけぞらされた殺生丸の夕顔のように白いおもてが、髪の重さに耐えかねたようにまたがくりとうなだれる。むき出しの白い腰にぐっと両手をかけ直して、妖怪はわざとじらすようにゆっくりと残酷に体を進めはじめる。逃げようともがくたびいっそう深くひきつけられ、無理強いに受け入れさせられるたび虜囚の肢体は若木のようにしなった。
妖怪の巧みな計算された動きが半ば開いた唇から苦しげな、訴えるようなほとんど扇情的なまでに悩ましいかすれたうめきを絞り出す。打ち込まれる楔の深さに、体は時折けいれんするように震える。快楽は痛みとまじりあい、逃れがたい屈辱的な体位と相俟って、いっそうその官能を刺激するようであった。
(あ・・・・ア・・・・ア・・・・・)
全身が熱く気がとおくなるような気持ちであった。殺生丸の意思を裏切って情欲の火はあおられてはげしく燃え上がり、体は与えられる強烈な快感に応じたくて気が狂いそうになっていた。いっそこのまま最後まで相手の顔を見ないで終われれたら、と思ったが、そう思った途端、間合いを計っていたように妖怪がぐっと両肩をつかんで上半身をねじったかと思うと、虜囚の片足が背中側に引っ張られ、殺生丸のほっそりした肢体はあっという間に上を向かされていた。
「そう姫君みたいに可愛くうつ伏せられてちゃ、肝心かなめのときの綺麗なお顔が拝めねえからな。そろそろいいだろ、え、おひいさん、あんたを悦ばせようとがんばってるんだからよ。あんたの感じてる顔を楽しみながら初回の仕上げと行かせてもらおうか」
「・・・・・・・・・う・・・・・」
汗ばんだ頬に妖しい桜色の文様がくっきりと浮かび上がる。興奮に荒くなった息づかいが虜囚の最後の抵抗を伝えてくる。
「どうした、体が震えてるな。顔を見られてんのが恥ずかしいのか、色っぽいぜ、おひいさん、いいだろう、さあ、もう降参しな、いい顔だぜ、ああ、最高だ、おひいさん、おとなしく降参して楽にさせてやるよ、さあ、こうこっちへ来い、さあ、さあ!」
虜囚の快感がぎりぎりまで高められているのがわかっていた。妖怪はあらゆる手管を駆使して捕らえた相手の体をさいなみ、容赦なく頂上へと追い立てていった。
巧みな手管と追い詰められた肉体と、顔を見られている羞恥とが一つになって責め立て、抵抗していた最後の官能の障壁がついに打ち砕かれた瞬間、攻め立てる妖怪の感極まった激しい最後の一撃と同時に、追い込まれた殺生丸のくちびるからついに耐えかねた最後の降伏の悲鳴がほとばしった。
「ア・・・・ア・・・・アアア・・・ああッ、アッ、アッ・・・・あ・・・・」
その声が途切れたせつな、妖怪の重い体は半ば失神した殺生丸の上に倒れ込んだ。
「まったく・・・・おひいさんよ・・・・お前みてえな美いのとやるってのは、延命長寿の薬みたいなもんだな・・・・たまげたよ、ったく何から何まで色っぽすぎらあ」
まだ荒い息をととのえようと体を起こしながら妖怪は云った。
目を閉じた殺生丸の喪心したような白いおもてが力なく後ろへのけぞった。未だあられもなく開かされたままの象牙のように白い足の間に、妖怪の舌が再びみだらな動きで這い回り始めるのをぼんやりと感じながら、殺生丸の意識は遠のいていった。