殺生丸の母上は、かごめの父と並んで、物語中最大のミステリー(笑)既にあらゆるサイトさまで語られていることではありますが、いったい殺生丸さまの母君って、どんなひとだったんでしょうね。100質でも考えたんですが、徒然なるままに、ふと考え直してみました。
生粋の妖怪ってことはもちろん間違いないわけですが、兄上は色白で顔立ちもかなり父上似のようで、化け犬姿も瓜二つです。
金色の目と白い髪、これは兄弟共通です。犬夜叉は朔のときの人間姿は母上と同じ黒髪に黒い目ですから、この金目白髪は父上からの遺伝と思われます。ということは、兄上も父上からその目と髪の色を受け継いでいる可能性が高くなります。つまり母上の容姿は兄上のそれと似ているかもしれないし、そうでないかもしれない。美人ではあったでしょうが、詳しくはわからない。
父上と母上はいかにして知り合ったのか、どういう関係で殺生丸を生んだのか。
ひじょーに多い確率で語られている想像は、正室として政略だか略奪だかで結婚した→殺生丸が生まれたけど二人は不仲→父上、十六夜さんと浮気、犬夜叉を生ませる→殺生丸の母上死す
という筋書きです。私はこの筋書きすごく好きで、よそのサイトさんで見つけると必ず読みふけるのですが、それはそれとして、映画3で判明した事実をもとに再構成して、別の想像もできるのでは、と考えてみました(笑)
そう考える第一の理由は、兄弟の性格から類推される父上の性格です。殺生丸と犬夜叉、この二人の気性に共通するのは、自尊心が強く、他人に指図されるのが大っ嫌い、ということです。そろいもそろって男っぽく、強情で意地っ張り、この性格こそまさしく父上からの遺伝ではないかと思ったりして。
殺生丸くらいの年の子を持ったにしては、父上はお若い感じです。ちょうど今の兄上くらいの頃に父君は母君と知り合われたのではないかと推察いたします。つまり今の兄弟たちと似たような年頃だった。あの二人の父親であり、後には西国の大妖怪とうたわれるようになるほどの資質をそなえた父が、生意気で血気盛んで反抗期思春期青春まっさかりの父上が(笑)なんで政略結婚で好みでない女なんぞあてがわれて、おとなしくはいそうですかと従うはずがあろうか、と(爆)
一族があるのか、いてもどの程度のものかはっきりはしませんが、仮に一族長老の締め付けが厳しかったとしても、父上はぜっっっったい言うとおりになんかしなかったと思う。あの兄上の父ですぜ(笑)無理強いなんかしたら血の雨が降ったと思います、はい。
好きでもない女と寝るような、そんな人間みたいな(笑)つまらない立場やら義理人情に縛られることからは、自由でいたのではないか。それでこそ真の妖怪です。そういう独立自尊、奔放不羈の気性こそ、兄弟が受け継いでいるものではないか、なーんて私は思ったりもするのでした。
ちなみに殺生丸の母上を強引に手に入れて、母上は泣く泣く・・・という説を私はとりません。いやしくもまともなプライドのある男なら、自分を嫌がる女を無理やりなんて、それこそ自尊心の傷つく行為です。ほかに惚れてくれる女はいないのかい?!ってことですね。
きっと冷たくされたら、父上はいろいろ苦労して母上をかきくどいて、ちゃんと本心からモノにしようと努力したのではないでしょうか(笑)
もう一つ、父上と母上の間柄ですが、父上が母上を疎んじた、あるいは十六夜さんと浮気してて不仲だった、というのはちょっと考えにくいと思います。
女性への好みが気難しかったのかもしれませんが、父上って女を不幸にして平然としていられるタイプではないような気がする。自分の女すら幸せにしてやれないのに他の妖怪たちをひきつけていられるはずがありません。そういう仮にも妻と呼び、息子を生ませた女性に冷たい仕打ちをできるような男だったとしたら、刀々斎にせよ冥加にせよ、あそこまで父上を慕ったりはしないのではないかなーと。
犬夜叉は桔梗とかごめの間で選びきれなくて苦悩します。殺生丸もりんちゃんのためにはずいぶん無理もし、自分をおさえ、危険も犯しています。容易な事では女性を愛したりはしませんが、こうと選んだらその女性をあくまで守り抜こうとする。そんな息子を持つ父上もまた、二人の女性を平然と並列させて、両方の心を苦しめるようなひどいことはできない男だったんじゃないか。
願わくば、殺生丸の父上はそういう女心を解する優しい男であってほしいのでした。
あと、映画3で判明した十六夜さん浮気相手説に対するもう一つの疑問は年齢です。十六夜さんは何歳で父と知り合い、何歳で犬夜叉を生んだんでしょう。仮に最大限父上と長くいられた年数を考えるに、15歳で知り合って、25歳で犬夜叉を生んだ。まあこれくらいが限度でしょう。紫の上も源氏と15歳で契ってますし、かごめちゃんが15歳なんだから。これより前じゃ犯罪です(笑)で、まあそれで行くと、父上といられたのはたった10年かそこらなんですねー。
犬夜叉は200年前に生まれて、50年封印されてて、人間でいうと15歳。150年で15歳だから、人間の一年は半妖の10年ということになります。200年前の映画の兄上を、まあ15歳と仮定します。今人間年齢で19歳だから、人間の1年間は妖怪の50年てことですね。
で父上は何歳か。34歳、と仮定しましょう。50×34歳で1700歳!兄上と同じ19歳で殺生丸を作ったとすると、それは50×(34−19)=750年前、950歳のときということになります。
まあ多少の誤差はありましょうが、仮にこれでいくと、父上は740年間殺生丸の母上といて、最後の10年だけ十六夜さんといた計算になります。並列したとしてもたった10年、妖怪にとっては人間に直すと15年間のうち、たった73日しか一緒にいなかったわけです。
てなわけで、かりに不仲で別れたとしても、その理由は十六夜さんとの浮気ではなさそうな、という気がします。
それになんといっても父上は長生きして大妖怪でおまけに水際だったいい男(笑)なんですから、もし殺生丸の母上がイヤだったら、十六夜さんに会う前にもっといろんな美女をモノにして大量に異母兄弟姉妹がいたっておかしかない。でも子供は殺生丸と犬夜叉のたった二人だけです。
十六夜さんのほうはともかく、殺生丸の母君のほうは妖怪なんだから長生きだろうし、父上と長く一緒にいれば、もう一人や二人子供がいたって不思議じゃないと思います。でも兄上一人しかいない。もしや、母上は何らかの理由で兄上を生んで、そのあとすぐ亡くなってしまったのではないでしょうか。
そのときのトラウマがあるので、今まさに子供を産もうとする十六夜さんを、ケガも省みず命がけで助けに行くのでは、なーんていうのもありかなと。
以上を総合するに、私の想像ですが、父上は殺生丸の母上を見初めて相思相愛で契りを結び、殺生丸をもうけたが、母上は早くに亡くなって、その後父上はどんな女性も子供を作るほど好きにはなれなかった。しかし後に十六夜さんと知り合って、初めてもう一度恋をし、犬夜叉をもうけるところまで行き、最後に母子を守って死ぬ、なんてのはどうでしょう。
十六夜さんは美しい方だった、と冥加も言ってますし、見たところ琴をひき、たおやかで美しく優しく可憐で、でも妖怪と知りつつ父上を愛するくらいですから芯は強い女性だった、という感じです。さて殺生丸の母上のご気性や如何に。
男の女性に対する好みって、年とっても容易には変わらないと思うのですが、若い頃は荒々しい戦闘好きの氷のような気性の烈しい(つまりは殺生丸がそのまんま女になったような)美女が好みだったけど、年いったら楚々として優しい美少女が好きになる、ってことあるのかなあ。男って案外そんなもんかな。
そもそもあのたおやかな十六夜さんから、あの荒々しい犬夜叉のような息子が生まれてくるわけですから、殺生丸のような苛烈な妖怪の母がどんな人でも別に不思議はありませんが、殺生丸がりんちゃんみたいな、自分の食べる分を削ってまでけなげに餌を運んでくれる母鶏のような、母性的なところのある女の子に惹かれているところを見ると、妖怪には珍しく母君にもそういうところがあったのかもしれないとも思います。
そういうわけで(どういうわけなんだか)私の考える殺生丸の母君は、実は桔梗に似たタイプだったんじゃないか、というのがあるんですがどうでしょう。
映画1でも冥加は、犬夜叉が父君と同じで無茶をするから、なんて言っていましたし、父君の若い頃の気性って意外と犬夜叉と似てるのでは、と思うんです。もし殺生丸のほうが父上とよく似た性格だったとしたら、父上をあれほど慕った冥加や刀々斎が、殺生丸ともっと親しくてもおかしかない。でも冥加は犬夜叉に付きっ切りだし、刀々斎も兄上に刀を作ってあげないし、親しみを持っているとはお世辞にもいえません。情愛は持ってるでしょうが、どうみても塀の外から(笑)って感じ、まるで猛獣を恐れるよう(爆)
一方ようやっと子供の域を脱したばかりの犬夜叉にはかなり踏み込んで助言を与えるなど、態度はまるで違います。つまり犬夜叉の方が父上を思いださせる性格をしてるんじゃないかと思うのです。
だから、女性の好みももしかしたら似ていて、殺生丸の母上は犬夜叉の初恋のひとである桔梗に似たタイプ、気丈で腕も立ってはっきり物を言い、恐れを知らず、勇敢で、それでいて本当に男らしい男から見ると、思わず守ってやりたくなるような翳を漂わせる美少女だったんじゃなかろうか、と思うんですねー。
可憐な十六夜さんから犬夜叉が生まれたように、ああいう桔梗みたいな神秘的な母上から殺生丸が生まれた、というのも、なかなか面白い想像なんじゃないかなー、と勝手に考えてみたりして。