犬夜叉、という名前について

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 犬夜叉、とっても男の子らしい男の子です。この名前もいかにも男っぽいと思うのですが、調べてみると、この夜叉がつく名前、伝統的にはどうも女性の名前のようで驚かされます。

 有名なところでは、歌舞伎「金幣猿島郡(なんて読むんじゃ)」や「忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)」などに出てくる、平将門の娘の瀧夜叉姫、鶴屋南北の「四天王楓江戸粧(してんのうもみじのえどぐま:読めるか、んなもん!)」に出てくる妖女、辰夜叉御前、池に人柱に立って渇水を癒したという三島の乳母、比夜叉(ひやしゃ)御前の伝説、はたまた近いところでは吉川英治の太平記に出てくる田楽女の藤夜叉など。実在したらしい人では、源義朝の娘、夜叉御前など、探すと結構でてくるのですな。

 姫とか御前というのは比較的格式の高い呼び名のように感じますが、仏御前、静御前なんて白拍子なんかにも使われますから、女性に対する一般的な敬語なのかなあ。つまり、女性の身分に関係なくつけられてる名前って感じです。

 もともとの夜叉はインドのヤクシャからきたものですし、女性(ヤクシニー)もいるということで、比較的女性的なイメージのある名前なのかもしれません。

 瀧夜叉姫や辰夜叉御前は、妖力を持つ手強い女性で、夜叉の名に恥じぬ(?)戦いぶりを見せてくれます。藤夜叉はただの田楽ひめですが、これは白拍子が男装するようなもので、男性的な名をあえてつける、ということはこういう身分の女性にはあったでしょう。
 しかし、残りの二人については、そう戦闘的な女性というわけでもなく、名前の由来はやはり謎です。ちなみにYAHOOで「夜叉」を検索したら、ヘビメタの「夜叉」と「犬夜叉」で埋まっていました。

 犬夜叉は子供なので、幼名に近い感じなのかもしれないなー、と個人的には思いました。けど、現代人の感覚からすれば、いかにも男の子って感じしますね。名前って不思議。

 幼名といえば、〜丸、という名前も男子の童名に用いられるものです。人間なら元服すると大人の名前に変わるわけですが、妖怪界では、大人もこの幼名をそのまま使うケースが多いですね。殺生丸さまはその典型。お袖も若衆振袖で、衣紋も抜いて、童形という感じです。男としては、大人と子供の中間の年齢だけに許される格好ですな。
 ちなみに下にはいてるのは何だろーと思って呼び名を調べてみました。すそを絞ってふっくらさせているのはどうやら指貫と呼ぶようです。裾を紐でくくるか、内側から引き上げるか、動きやすくするために袴の前後を指し貫いてくくったのが始まりだそう。アウトドアな化け犬一族ご愛用。

長生きしていつまでも若いからか?しかし大獄丸なんか爺さんのくせに丸ですからねー。ま、男の名前、ということで使われるのでしょう。ちなみに日本の船にはよく〜丸とつけられるので、外国ではマルシップと呼ばれるんだとか。大陸ではマルヨウカイとか呼ばれてたりして。