殺生丸さまと3つの謎(ハリポタ風^^;) その二



 なぜ振袖なのか

 なぜに振袖、抜き衣紋なのか。色っぽいですね、殺生丸さま。長いおぐしで隠されてますが、かなり衣紋を抜いてると見ました。あんまり身柱(ちりけ)まで見えるほど衣紋を抜いてると遊女と間違われます、兄上(←大殴蹴)いえ、その、そんなに抜いちゃいないと思いますが、首筋の後ろを大きく開けるというのは、今で言うと胸元をぎりぎりまで開けるという感覚に似てるのかな。ちょっとしどけないなりですね。けど一年中衣紋を抜いたままだと背中寒いと思うんですが、どうなんでしょうか。

 弟の犬夜叉が典型的な男の子の衣装を着ているというのに、派手やかな若衆振袖とはなまめかしい兄上ですが、若衆が長い袂の着物を着るのはそう珍しいことではありません。
 ま、しかし兄上の場合、すぐ思いつく理由は、やはり父上の好みかと(^^;)袂の柄もお若い頃は白地に紅梅色に桜(?)の文様となかなか鮮やかな色あい、いかにも初々しく艶冶な装いです。

 演出上はなんといっても袂が長いほうが風にふきなびくので絵になるし、長い髪とあいまって兄上の俊敏さと優雅さをいっそう強調する効果がありますが、兄上は戦ってて“この袖、邪魔”とか思わないのかしらん(笑)。アニ○ージュ特集では、見返り丸さまのコマ絵があって、長い髪をなびかせるのは優雅を演出するため、なんて書いていました。お袖も同様なのでしょう。
 そういえば、初期のOPでは犬夜叉と戦ってるとき、お袖がまくれてひじ近くまで見えるようなシーンがありましたが、ずっしりと重い絹のお袖を勢いだけでああまで振り回すのは結構力が要ります。って、そうじゃなくて、めくれた白いお腕が色っぽいなと思ったんですが(笑)


 振袖を着るのは元服前の男子で、中性的な存在であることを意味します(と、どっかの本に書いてあった)てことは、兄上は今にも至るはもちろん、父上が亡くなるまでずっと振袖のままだったんですね。あの年なら大人の着物に変わってもおかしくない年にもかかわらず振袖のままにしておいたということは、父上は兄上を大人にするのがいやだった、それともあくまで子供と思ってみていた、あるいは兄上を母上と重ねて中性的に見ていたかった、とにかく似合うので脱がせたくなかった、さてどれでしょう(笑)

 で、兄上は自分でも柄こそおとなびて色も紫と控えめにしたものの(漫画では)相変わらず振袖のままでおられます。つまりはまだ気分的にも大人になった、成人した、成熟した、という感じは持ってないのでしょう。
 その、いわば通過儀礼、みずから定めたイニシエーションというのが、父上と並び称される大妖怪になるということ、より具体的には鉄砕牙を手に入れることなのだろうなー、というのは納得できる気がいたします。
 映画でも叢雲牙をこの手につかむことで父に並ぶのだ、みたいなことを言ってましたが、しかし鉄砕牙には拒まれ、叢雲牙は去り、これを手に入れることはおそらく不可能でしょう。となると残る道はひとつ、天生牙しかありませんが、兄上にしてもこれを使いこなすことで大人になれる、という感じは持ってないので、それでいまだに振袖のままなんでしょう。
 てことは、殺生丸がついに天生牙を認めてこれを使いこなせるようになったら、兄上の振袖すがたも見納めってことなのかな〜。それはなんか悲しい(笑)
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 父上が亡くなったとき、殺生丸さまは何歳だったのか。映画では15,6歳くらいと私は思いました。父君を亡くしたときに着ていた振袖ももはや年にあわなくて、新しい衣に替えたのかも。あのときのあの桜の袂の振袖はどうしてしまったのかなあ。
 どこかにしまっておいて、ときどき取り出して、これを愛でた父上のことを思い出したりしてたりしたら切ないなあ。昔の人の袖の香ぞする、といったところでしょうか。

 この殺生丸さまの着物、普段は衿もとを見ると、長襦袢?というか肌着?というか、下の着物の衿の上に振袖の衿があって、きっちり二重になってるのですが、一回だけ、この衿が乱れてるときがあります。犬夜叉に風の傷くらって吹っ飛ばされて、りんちゃんに看病されてたときですね。邪見が迎えに来て、りんちゃんの血の匂いがして兄上はそちらに向かいます。

 ここらあたりの兄上の着物、衿の肌着がなくって、振袖だけの衿なんですね。それがちょっと首筋から浮いたような感じになっています。

ただそれだけのことなんですが、実にこう、着物の乱れて着くずれた感じが出ていて、非常にエロティックといいますか、なまめかしく、ぞくぞくしてしまう。首筋が衿から離れてるので、いっそううなじが細くみえ、それがまたいかにもやつれた雰囲気を醸し出しています。

いつもきっちり衿をあわせているので、あちこち破れ乱れた振袖とあいまって、いっそう悩ましげな感じです。髪も耳元のあたりが短く削がれてざんばらな感じになって、身なりなんかかまっていない、という、いつになく疲れきった風情ですが、その落差がまた色っぽいといいますか(笑)

ま、このときは本当に疲れてたんでしょう。現れ方もまるで幽鬼のようで、凄愴な雰囲気です。狼を追っ払うのに爪も出さず、戦いもせず、じろりとひとにらみするだけ。わずらわしくもあり、疲れもあり、雑魚どもが鬱陶しい、という気持ちもあり、で、この恐ろしく不機嫌で物騒な一瞥をくらって哀れな狼どもはキャンとも言わずに退散します。

いつも犬夜叉の前に現れるときの颯爽とした身なりに比べて、狼たちと倒れてるりんちゃんの前に現れたときの、ちょっとふらふらして足元もおぼつかないような雰囲気が対照的で、この着物の演出が、殺生丸にとっての転換点に当たる、このりんちゃんをよみがえらせるシーンの劇的な色合いを強めています。

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